当ギャラリー常設展「夢路をたどる」の作家、蛯子睦月さんに伺ったお話を元にコラムをお届け。
今回は、個展を開こうと思い立ったら、その前にどうすべきかのお話です。
作品が第一。誰かの展示を見るのも大事
当たり前のことですが、作品がなければ個展を開いても仕方がありません。可能であれば、何作か新作も準備してから臨むようにしましょう。
また、展示するスペース、借りるギャラリーの規模にもよりますが、自分で思っている以上に作品点数が必要になることもあります。「これぐらいで丁度かな」とギリギリの数を用意するよりも、「これも持っていきたいけど」と悩みながら選べるぐらいの数を用意するようにしましょう。
個展を開いて、誰かに見に来てもらう以上、自分として納得していないイマイチな作品で埋めるより、より良い作品を絞り込んで見ていただいた方が、自分にも来ていただく方のためにも良いです。
また、より良い展示を見極めるためにも、自分以外の個展や展示も沢山見に行った方が良いです。特に、開催してみたいギャラリーで行われる展示は積極的に見に行って、ギャラリーの関係者と仲良くなるのはもちろん、作品を展示した時にどんな見え方になるのか、照明が当たるとどんな感じになるのか、実際の作品、展示を見ながら客観的に見て学ぶことが大切です。
もちろん、自分の作品を飾ったらどうなるのかを頭の中で想像することもできますし、会場に来た人の目線や動きを具体的にシミュレーションすることもできます。
より良い個展を開くためにも、展示や展覧会を回る習慣を身につけて、ギャラリーやスタッフさん、オーナーさんの情報収集もしつつ、展示した時の見え方についてもしっかり学んでおきましょう。
グループ展の開催もオススメ
個展を開く前に、創作仲間や友人知人、あるいは既に展覧会をしたことがある先生や先輩方と一緒にグループ展を開いておくと、実際に会場を借りる時の状況や作品の搬入搬出、展示の実際を身をもって体感できます。
特に、失敗してもリカバリーしやすい学生のうちに経験しておくのはオススメです。仲間内に既にやったことがある人、経験者がいれば、初めてのグループ展でも、何をどうしたら良いかが分かりやすくて良いです。
ただ、グループ展だと出展手続きや集客といった全てを経験することは難しいので、一回や二回で終わらず、何度も経験しておくと、いざ個展をやろうとなった時に「一人で出来そう」と思いやすくなります。
創作仲間や友達、先輩や後輩といった繋がりを作っておくと、一人でやる時にも力になってくれます。仲間や友達を作るという意味合いでも、グループ展はオススメです。
SNSアカウントの開設もできるだけ早めに
個展の集客や宣伝広告といった目的だけでなく、開催情報の発信等を各種SNSで実施するつもりなら、できるだけ早いうちにアカウントを開設して、普段から活用するようにしましょう。
日々の創作活動を発信するだけでもいいし、日々思ったことをメモ代わりに発信してもいいです。
個展の開催に合わせて動く、宣伝目的、商売目的のためのアカウントだと認識されてしまうと、肝心な時に役に立たない可能性があります。個展を開催する時の集客や宣伝に役に立ったら良いなという思いはあっても良いけれど、それだけのアカウントにならないように気をつけましょう。
まずは作る、回る、試してみる
いきなり個展の開催を考えるのではなく、作品が第一。まずは創作活動に力を入れましょう。
その上で、どこかの会場、ギャラリーを借りてみたいと思うなら、まず行ってみる。展示物、展覧会を見て回る。
個展で大きな失敗をしないため、来てくださる皆さんのためにも、小規模の展示やグループ展を経験してみる。何度か試してみる。
個展や展示空間も一つの作品作り、創作活動です。
個展を開こうと思い立ったら、まずは作る、回る、試してみる。
一つ一つしっかりと楽しみながら取り組んで行きましょう。