当ギャラリー常設展「夢路をたどる」の作家、蛯子睦月さんに伺ったお話を元にコラムをお届け。
今回は、個展開催時や展示する際に気をつけたいこと、チェックしておきたいことのお話です。
照明、ライティングはしっかり調べる
立体物はもちろん、写真や絵画といった平面的な作品であっても、光の当て方、陰影の付け方で見え方が全く変わってくるので、会場を借りる際にオーナーやスタッフさんからきちんと説明を受け、自分でもどんな見え方になるかチェックするようにしましょう。
光源の位置や光の色、高さや向きはどの程度変えられるのか、じっくり確かめること。また、搬入時に現場にいるスタッフさんと念入りなコミュニケーションをしておくと、後で困った時に助けてもらいやすくなります。
搬入は、想像を超えてくる
グループ展等で経験している方はよくお分かりだと思いますが、作品の搬入は自分が思っている以上に時間がかかるし、労力もかかります。物として運び入れるだけでなく、どこにどう飾るか、どう見てもらうかも考えながら微調整しなければならないからです。
会場のオーナーやスタッフさんが手伝ってくれる場合もありますが、それを当然と思ってしまうと搬入当日に、自分一人の手しかないということもあり得ます。そうなると、運び込みや展示が全然進まないだけでなく、いつ終わるかも分からなくなります。
搬入当日に困らないよう、事前に家族や友人、創作仲間や知人といった人に声をかけ、協力してもらえるよう打診しておきましょう。搬入作業に自分を含めて二人から三人以上いると、比較的スムーズです。
また、搬入時に作品を包んでいた梱包材をどうするかも、搬入する前から考えておいた方が良いです。自分が思っている以上の荷物になることがあるので、気をつけましょう。
搬出時は、作品の取り扱いに気をつけて
搬出作業自体は搬入時よりは楽ですが、展示が終わったという疲れや安堵感から、気が抜けた状態で作品を取り扱いがちになります。落としたりぶつけたりしないよう、作品を無事に搬出するまで気を抜かないこと。搬出時だからこそ、より一層の注意を払って作品を取り扱うようにしましょう。
また、作品を収納する箱や梱包も、どれがどの作品の物なのか分かるようにしておきましょう。
箱に作品のタイトルを見やすい字で書いておいたり、作品を撮影したり、縮小コピーした印刷物を貼り付けるなどしておくと、多少ボーッとした状態でも搬出がスムーズになります。
ボーッとしている時の自分の判断力を過信せず、やっておいた方が良いと思うことは全てやっておきましょう。また、もし失敗があれば次に活かすようにしておくと、次回以降の搬入、搬出がより素早く出来るようになります。
作品の輸送費もしっかり調べ、早めに予約を
搬入時や搬出時の配送業者などの予約を早めにしておくのはもちろんのこと、どの業者さんがどのぐらいの費用で対応してくれるのか、自分で調べたり、色んな人に聞くなどして、情報収集をしておきましょう。最終的な輸送費が大きく変わってくる可能性もあります。
グループ展や普段の創作活動で友達や仲間、先生や先輩といった繋がりを作っておくと、経験者でないと分からない情報や体験談を仕入れることができます。普段から会場のオーナーやスタッフさんも含めた関係各所とコミュニケーションを取って、関係を構築しておくことも忘れないようにしましょう。
在廊時は「人前に出る」を意識して
開催期間中に会場へ在廊する際は、人前に出ることを意識して、服装や身なり、清潔感に十分注意しましょう。当日までの体調管理も、大事な要素。普段の姿、創作時の姿のままはオススメしません。
また、せっかく会場に来ていただいた方、じっくり絵を見てくれている方には、自分から積極的に話しかけるようにしましょう。話しかけて良いタイミングかどうかは見極めなければいけませんが、話したいと思った人には自分から声をかけた方が良いです。
自分の絵を見に来てくれている人と友達になれるかもしれませんし、同じ業界に関わっている人かもしれません。次のどんなご縁へ発展するかも予測が付かないので、話しかけたいと思ったら怖がらずに声をかけてみるようにしましょう。話しかけずに後悔したり、損した気分になるのはもったいないですので。
ただ、稀に応対しにくいお客さんが来ることもあるかもしれません。特に女性作家さんや女性のみのグループ展の場合、思わぬ来客というのもあり得るので、対応に困る時は無理に付き合わず、会場のオーナーやスタッフさんに相談して適切な対応を検討するようにしましょう。