当ギャラリー常設展「夢路をたどる」の作家、蛯子睦月さんに伺ったお話を元にコラムをお届け。
今回は、会場レビューのお話です。以下、蛯子睦月さんによる当ギャラリーに展示してみた率直な感想とレビューをご紹介します。
作品に集中しやすいところが良い
四方に壁がある小部屋が三つとそれを繋ぐ通路という構造なので、壁にかけられた絵、作品を見ることに集中しやすい。小部屋の出入り口となる開口部はあるものの、あまり大きくないので作品を鑑賞する際にはそこまで気にならない。
隣の小部屋や外の通路と地続きなようであり、しっかり分けられているようでもあり、見る人の動きや全体の流れを考えて構成を練ったり、小部屋ごとにテーマを設定したり、作品同士の組み合わせを考えたりという楽しみ方もある。
大きすぎない作品、F10号前後の作品を展示することにも向いているし、それより小さい作品でも十分に映える。それに展示の仕方や作品の扱い方にもよるが、作品との距離を近くすることもできるので、画材の質感やタッチの違いなど、間近でないと分からない差にも気づいてもらえるので、そこも個人的には良かった。
家で飾った時を想像しやすいのも良い
小部屋や通路のサイズ感、壁の質感や全体的な雰囲気が一人暮らしのアパートやマンションと似ているので、作品を自宅で飾ったらどうなるか、見に来てくれた方の頭の中で想像しやすいと思う。
商店街の中という生活に直結した場所、すぐ外で街の賑わいや人通りも感じられる場所で、絵やその他の作品を自分の部屋に置いてみるとどうなるか、視覚以外の環境も相まって凄くリアルに想像してもらえるのでは。
商店街と地続きというのも考慮はしたい
すぐ目の前を小学生や保育園児も通るし、展示空間までの距離も短く出入りもしやすいので、展示する作品や構成はよく検討した方がいい。たとえ個展であっても、力強い作品や重々しい作品から始まるような構成や、刺激の強い作品をいきなり見せるような展示は避けた方が無難。
私的利用で場所を借りるんだけど、公共性も多少加味した展示を心掛けたい。